内科領域における静脈血栓塞栓症の予防

  1. 内科領域では,原則として臥床を要する症例を予防対象とする。手術を行わない症例を対象にしているため,表4に示したように,各症例が有する基本リスクとそこに加わる急性疾患に伴う急性リスクの組み合わせでリスクの程度を判断し,表1の各リスクレベルの予防法に準じて適切な予防法を選択する。
  2. 脳卒中は強い危険因子とみなして予防を行うが,出血性脳血管障害患者などの抗凝固療法禁忌例に対しては,理学的予防法を選択する。
  3. 心筋梗塞は中程度の危険因子とみなされ,十分に歩行可能となるまで抗凝固療法が継続されない場合には,弾性ストッキングあるいは間欠的空気圧迫法を施行する。
  4. うっ血性心不全患者は中程度の危険因子とみなすが,弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法の使用は静脈還流量が増加し病態増悪が危惧されるため十分注意して使用し,症例によっては低用量未分画ヘパリンの使用を考慮する。
  5. カテーテル検査・治療後の静脈血栓塞栓症の発症は稀ではなく,穿刺部位の止血のための圧迫を必要以上に長時間行うことは避け,安静時間の短縮を図る。また,静脈血栓塞栓症のリスクの高い症例では,大腿静脈等といった下肢からの中心静脈カテーテル留置はできる限り避ける。
  6. 内科集中治療室症例では危険因子が重複することが多く,リスクの程度に応じた静脈血栓塞栓症の予防を行うべきである。






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