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ACCP ガイドライン第 8 版
「静脈血栓塞栓症の予防」

発行にあたって

肺塞栓症研究会 代表世話人
中野 赳(三重大学名誉教授)

2004 年にわが国ではじめて肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドラインが策定されてから,5 年以上が過ぎました。ゆっくりではありますが,確実に静脈血栓塞栓症の予防は日常臨床に根付きつつあります。いろいろなアンケート調査をみても,一般病院での予防施行率はかなり高くなってきています。また,多くの診療科で予防に関する研究が進められ,日本人独自のエビデンスも現れはじめました。その結果として,日本麻酔科学会の調査では周術期肺塞栓症の発生率は明らかに減少していると報告されています。

一方で,静脈血栓塞栓症の予防はやはり難しいとの声も聞きます。理学的予防においては予防期間が不明確であり,またその効果自体が不十分ではないのかとの意見もあります。薬物的予防においては,やはり出血のリスクとのバランスが難しく,日本人ではどの程度,薬物予防による出血が許容できるのか,といった問題が残ります。

上述のように初版の予防ガイドライン策定からいろいろな情報や問題点が蓄積されました。静脈血栓塞栓症の予防がほとんどなされていなかった時代から,多くの医療従事者がそれを理解する時代へと変わりました。フォンダパリヌクスやエノキサパリンなどの新しい抗凝固薬の使用も可能となり,まさに新しくガイドラインを改訂する時期が来たといってよいでしょう。

このような状況の下,第7版に引き続き,第 8 版 ACCP Consensus Conference の静脈血栓塞栓症予防ガイドライン日本語版の監修,監訳を,肺塞栓症研究会として引き受けさせていただきました。臨床現場で静脈血栓塞栓症の予防に携わる方々にとっては,本症予防の真髄をこのガイドラインから感じ取ることができます。また,本症予防を研究する方々にとっては,世界のエビデンスを効率よく学ぶことができます。さらには,新しいガイドライン改訂を間近にして,静脈血栓塞栓症予防の世界の趨勢を知ることができるでしょう。

本書の監訳にあたられた先生方の尽力に感謝を申し上げますとともに,この ACCP ガイドライン日本語版により医療関係者のみなさまの理解がさらに深まり,理想的な静脈血栓塞栓症の予防対策が行われていくことを期待いたしております。


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