日本語版翻訳にあたって（抜粋）

菊地臣一
公立大学法人 福島県立医科大学
理事長 兼 学長／整形外科

慢性疼痛が，今，医療関係者はもとより行政，産業，福祉領域の専門家達から注目されている。その理由は，最先端の痛みの科学がもたらした新知見に由来している。「痛み」は，人間の活動を制限するだけでなく，動かないことにより，寿命，いわゆる生活習慣病，癌，そして認知機能など健康寿命に深く関与していることが明らかになったからである。

（中略）

本書は，このような痛みの新たな病態把握に基づいて，職場や医療機関で関係者はどのように運動器の痛みを評価するか，評価の結果，把握できた関与している多因子をどう回避，あるいは克服すべきか，そして医療対応と職場の環境整備をどうすれば良いのかを論じた手引書である。

その内容は，具体的で実践的である。運動器の痛みに携わっているすべての関係者に勧められる良書である。