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PTSD 薬物療法アルゴリズム

Post-Traumatic Stress Disorder(PTST) Algorithm
日本語版

はじめに(抜粋)

これまでの PTSD 治療ガイドラインは,ある治療がどの程度のエビデンスによって支持されているのかのレビューに基づいて作成されているが,最初の治療によって寛解や良好な反応が得られなかった場合の治療の順番,つまり「次に何をしたらよいか」には触れていない。また,併存疾患のある PTSD の治療についても触れていない。これまでのところ,5 つの主要な PTSD 治療ガイドラインが出版されている。すなわち,Expert Consensus Group(Foa,Davidson と Frances,1999),International Society of Traumatic Stress Studies(国際トラウマティック・ストレス学会:ISTSS)(Foa,Keane と Friedman,2000),American Psychiatric Association(米国精神医学会)(2004),The US Department of Veterans Affairs and Defense Joint Clinical Practice Guidelines(2005),および英国の National Center of Clinical Excellence(国立医療技術評価機構:NICE)(2005)から出版されているガイドラインである。実際の治療を工夫する上では,推奨順位の低い薬物を用いたり複数の薬物を組み合わせたりすることがあるが,そのような場合のエビデンスは通常低くなってしまうので,単なるエビデンスの列挙ではなくアルゴリズムの形にまとめた治療指針が必要である。そこで今回,我々はこのような PTSD 薬物療法のアルゴリズムを提示することにした。しかしながら,PTSD への効果が立証されている治療としては,薬物療法だけではなく心理社会的治療(psychosocial treatment:PST)もあるということに注意をして頂きたい。まず薬物療法を行うのか,PST を行うのか,またはその両方を行うのかを選択する必要がある。PST を最初に行わない場合でも,薬物療法に追加したり,薬物療法から切り換えたりすることもできる。ただし,PST によって薬物療法を増強することの効果を実証した研究はひとつしかない(Rothbaum ら,2003)。

このアルゴリズムでは,顕著な症状と併存疾患の診断,エビデンスレベル(Levels of Evidence:LOE,該当する Step を参照),および治療反応の程度を考慮して,PTSD の薬物療法の順序が示されている。また,次のような特殊な問題も考慮しなくてはならない。すなわち,外傷的出来事の直後の反応,現在進行中の外傷的出来事および暴力,妊娠,その他の行動上および健康上のリスク,治療の遵守,投与量についてのガイドライン,非定型抗精神病薬(atypical antipsychotic:AAP),他文化間の問題,PTSD および急性ストレス障害(acute stress disorder:ASD)の評価ツール,PTSD の経過,司法の関与,ならびに小児および青年における薬物の使用である。


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